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【中学受験算数】通過算がすべて同じ手順で解ける「3つの裏ワザ」

最終更新
【中学受験算数】通過算がすべて同じ手順で解ける「3つの裏ワザ」

通過算には、電柱・鉄橋・トンネルといった「物」と、「トンネルに完全に隠れている」「鉄橋を渡り終えた」といった「言葉」が、次から次へと出てきます。場面が変わるたびに新しい条件が増えていくように感じて、1つずつ覚えようとしてしまうお子さんが多いのではないでしょうか。

じつは通過算は、場面をひとつひとつ覚える必要などありません。3つの裏ワザさえ身につければ、どんな場面が出てきても、同じやり方で解けるようになります。

1. 通過算でつまずく、本当の理由

通過算が苦手な子には、共通したつまずき方があります。

そうだったの!? ①「場面を覚えようとする」

「トンネルに完全に隠れているときは......」「すれ違い終わるまでは......」と、場面ごとに別々のものとして覚えようとしてしまう。似た場面が出てくるたびに、どの覚え方だったか思い出せなくなります。

そうだったの!? ②「列車が動いている様子を想像してしまう」

「長い列車が動いている」と、そのままの姿を思い浮かべてしまう。すると、どこに注目すればいいのか視点が定まらず、計算のたびにミスが起こりやすくなります。

そうだったの!? ③「図を正しく描けていない」

通過算の図を、「電車やトンネルの絵を書けばいい」と単純に思っている子がほとんどです。図の本質をしっかりと考える必要があります。

通過算は発想を変えるだけで、場面がいくつあっても同じやり方で解けるようになります。それが、これからご紹介する3つの裏ワザです。

2. 裏ワザ① 問題文を「図」に置きかえる

最初の裏ワザは、問題文の言葉を図に置きかえることです。通過算の問題文には「通過する」「渡り始めてから渡り終わるまで」「完全に隠れている」といった言葉が出てきますが、これらはどれも、列車の「ある瞬間」から「ある瞬間」までを表しています。

その2つの瞬間を、そのまま図に書けばよいのです。図は、列車やトンネルを絵のまま書いてかまいません。書くのは列車が動いている様子ではなく、問題文が表している2つの瞬間だけ。図そのものは動きません。

問題文の言葉図に置きかえると
電柱の前を通過する列車の先頭が電柱に来た瞬間 ~ 列車の最後尾が電柱を通りすぎた瞬間
鉄橋を渡り始めてから渡り終わるまで列車の先頭が鉄橋に入った瞬間 ~ 列車の最後尾が鉄橋を出た瞬間
トンネルに完全に隠れている列車の最後尾がトンネルに入った瞬間 ~ 列車の先頭がトンネルの出口についた瞬間

いちばんまちがえやすい「完全に隠れている」を、図に置きかえてみましょう。

「列車がトンネルに完全に隠れている」とは

列車の最後尾がトンネルに入った瞬間から、列車の先頭がトンネルの出口についた瞬間まで。

トンネル 列車の最後尾がトンネルに入った瞬間 列車の先頭がトンネルの出口についた瞬間

問題文の言葉がどんなに変わっても、やることは同じです。「どの瞬間からどの瞬間までか」を読み取り、その2つの瞬間を図にする。これだけで、場面ごとに覚える必要がなくなります。

3. 裏ワザ② 「列車」ではなく「点」で考える

2つめの裏ワザは、列車という物体をそのまま動かすイメージをやめることです。かわりに、列車の先頭か最後尾、どちらか1点だけに注目します。

「物」が動くのではなく「点」が動く

列車が動くと考えると、頭の中が混乱します。そのため、図を書いたあとは「点の移動の問題」だと考えるようにしましょう。列車の先頭あるいは最後尾に「点」を打ち、その点が「どこからどこまで動いたか」を追いかけるだけです。

裏ワザ①で書いた図に、点を打ってみます。ポイントは、2つの瞬間のどちらでも、列車の同じ部分(ここでは先頭)に点を打つことです。

電柱の前を通過する

電柱 列車の先頭が電柱に来た瞬間 列車の最後尾が電柱を通りすぎた瞬間 点が動いた距離=列車の長さ

点(先頭)は、電柱の位置から、列車の長さだけ先の位置まで動いています。だから、電柱を通過するのに進む距離は「列車の長さ」です。

鉄橋を渡り始めてから渡り終わるまで

鉄橋 列車の先頭が鉄橋に入った瞬間 列車の最後尾が鉄橋を出た瞬間 点が動いた距離=鉄橋の長さ+列車の長さ

点(先頭)は、鉄橋の入口から、鉄橋の長さ+列車の長さだけ先の位置まで動いています。

トンネルに完全に隠れている

トンネル 列車の最後尾がトンネルに入った瞬間 列車の先頭がトンネルの出口についた瞬間 点が動いた距離=トンネルの長さ-列車の長さ

点(先頭)は、「トンネルの入口から列車の長さだけ進んだ位置」から、「トンネルの出口」まで動いています。だから、隠れている間に進む距離はトンネルの長さ-列車の長さです。

「渡り終わるまで」は+、「隠れている間」は-。この違いも、公式として覚える必要はありません。点がどこからどこまで動いたかを見れば、その場で分かります。

4. 裏ワザ③ 点を打ったら「線分図」として見る

3つめの裏ワザは、図の見方です。点を打ったら、列車やトンネルの絵からいったん目を離し、点だけを「線分図」として見ます。点はまっすぐな線の上を動いているだけなので、「どこからどこまで動いたか」「2つの点がどれだけ離れているか」が一目で分かるからです。

そして、線分図はもともと「差」を見るためのものです。線分図として見る力がいちばん役に立つのは、2つの場面を比べて差を調べる問題です。次の問題で考えてみましょう。

問題

ある列車が、長さ180mのトンネルを通りすぎるのに15秒かかり、長さ260mの鉄橋を通りすぎるのに19秒かかりました。この列車の速さは秒速何mですか。また、この列車の長さは何mですか。

トンネルの場面と鉄橋の場面、2つの図を上下に並べて書きます。入口の位置をそろえ、どちらも列車の最後尾に点を打ちます。

トンネルを通りすぎる(15秒) トンネル180m 鉄橋を通りすぎる(19秒) 鉄橋260m 通りすぎ始めの点 通りすぎ終わりの点

最後尾に点を打つと、通りすぎ始めたときの点はどちらも「入口から列車の長さだけ手前」で、同じ位置になります。ちがうのは通りすぎ終わったときの点だけです。トンネルならトンネルの出口、鉄橋なら鉄橋の出口に点がきます。

この点だけを取り出して、線分図として並べてみましょう。

点だけを線分図として見ると...... トンネル 15秒 鉄橋 19秒 差:80m・4秒

2本の線分図を比べると、差は鉄橋とトンネルの長さの差(260m-180m=80m)です。そして、この80mを進むのにかかった時間が19秒-15秒=4秒の差になります。

差から解く

速さ......80m÷4秒=秒速20m

列車の長さ......トンネルを通りすぎる15秒で進んだのは、20m×15秒=300m。これはトンネルの長さ+列車の長さなので、300m-180m=120m

列車の長さが分からないままでも、差に注目すれば速さが先に求まります。図は絵のまま書き、点を打ったら線分図として見る――そうすることで、「差」がはっきり見えてくるのです。

5. 2つの列車が出てくる問題も、同じ3つの裏ワザで解ける

すれ違いや追い越しのように、列車が2つ出てくる問題も、特別な考え方は必要ありません。①問題文を図に置きかえ、②点を打ち、③線分図として見る。ちがうのは、1つの点が動いた距離ではなく、2つの点の間の距離を見ることだけです。ここでは、列車Aは青、列車Bは赤で書きます。

すれ違い

「すれ違う」とは

列車Aと列車Bの先頭どうしが出会った瞬間から、最後尾どうしが重なった瞬間まで。

図は、先頭どうしが出会った瞬間だけを書けば十分です。それぞれの列車の最後尾に点を打ち、あとは点だけを線分図として見ます。

列車Aと列車Bの先頭どうしが出会った瞬間 列車A→ ←列車B Aの長さ+Bの長さ 点だけを線分図として見ると...... 2つの点が近づいて出会う=すれ違い終わり(旅人算の「出会い」)

2つの点ははじめ「列車Aの長さ+列車Bの長さ」だけ離れていて、向かい合って近づき、出会ったときがすれ違い終わりです。これは旅人算の「出会い」そのもの。2つの点の間の距離を速さの和で割れば、すれ違いにかかる時間が出ます。

追い越し

「追い越す」とは

列車Aの先頭が列車Bの最後尾に追いついた瞬間から、列車Aの最後尾が列車Bの先頭に並んだ瞬間まで。

図は、追いついた瞬間だけを書きます。Aの最後尾とBの先頭に点を打ち、あとは点だけを線分図として見ます。

列車Aの先頭が列車Bの最後尾に追いついた瞬間 列車A→ 列車B→ Aの長さ+Bの長さ 点だけを線分図として見ると...... 後ろの点が前の点に追いつく=追い越し終わり(旅人算の「追いつき」)

2つの点ははじめ「列車Aの長さ+列車Bの長さ」だけ離れていて、同じ方向に進み、後ろの点(Aの最後尾)が前の点(Bの先頭)に追いついたときが追い越し終わりです。これは旅人算の「追いつき」。2つの点の間の距離を速さの差で割れば、追い越しにかかる時間が出ます。

1つの列車でも2つの列車でも、問題文を図に置きかえ、点を打ち、線分図として見るという手順はまったく同じです。

6. 実践!例題を解いてみよう

ここまでの3つの裏ワザを使って、実際に例題を解いてみましょう。どの問題も、「図に置きかえる→点を打つ→線分図として見る」という同じ手順で解けることを確認してください。

問題① 電柱を通過する

問題

秒速18mで走る長さ126mの列車が、電柱の前を通過するのにかかる時間は何秒ですか。

電柱 列車の先頭が電柱に来た瞬間 列車の最後尾が電柱を通りすぎた瞬間 126m

図に置きかえる:列車の先頭が電柱に来た瞬間~列車の最後尾が電柱を通りすぎた瞬間
点:先頭に打つ
線分図として見る:点が動いた距離=列車の長さ=126m

時間=126m÷秒速18m=7秒

問題② 鉄橋を渡る

問題

長さ180mの列車が秒速25mで走っています。長さ420mの鉄橋を渡り始めてから渡り終わるまで、何秒かかりますか。

鉄橋 列車の先頭が鉄橋に入った瞬間 列車の最後尾が鉄橋を出た瞬間 420m 180m 600m

図に置きかえる:列車の先頭が鉄橋に入った瞬間~列車の最後尾が鉄橋を出た瞬間
点:先頭に打つ
線分図として見る:点が動いた距離=420m+180m=600m

時間=600m÷秒速25m=24秒

問題③ トンネルに完全に隠れている

問題

秒速24mで走る列車が、長さ900mのトンネルに完全に隠れている時間は33秒でした。この列車の長さは何mですか。

トンネル 列車の最後尾がトンネルに入った瞬間 列車の先頭がトンネルの出口についた瞬間 トンネル900m □m 24m×33秒=792m

図に置きかえる:列車の最後尾がトンネルに入った瞬間~列車の先頭がトンネルの出口についた瞬間
点:先頭に打つ
線分図として見る:点が動いた距離=900m-列車の長さ

点が動いた距離は、秒速24m×33秒=792m。だから、列車の長さ=900m-792m=108m

問題④ すれ違い

問題

長さ200mの列車Aが時速72km、長さ160mの列車Bが時速90kmで、反対方向から進んできます。2つの列車がすれ違い始めてから、すれ違い終わるまで何秒かかりますか。

まず速さを秒速に直します。時速72km=秒速20m、時速90km=秒速25m。

先頭どうしが出会った瞬間 列車A→ ←列車B 200m 160m 360m 点だけを線分図として見ると...... 秒速20m 秒速25m 2つの点が近づいて出会う(速さの和:秒速45m)

図に置きかえる:先頭どうしが出会った瞬間~最後尾どうしが重なった瞬間
点:AとBの最後尾に打つ
線分図として見る:2つの点の間の距離=200m+160m=360m。2つの点は向かい合って進む(出会い)ので、速さは20m+25m=秒速45m

時間=360m÷秒速45m=8秒

問題⑤ 追い越し

問題

長さ150m・秒速28mの特急列車が、同じ方向に進む長さ100m・秒速18mの普通列車に追いついてから、追い越し終わるまで何秒かかりますか。

特急の先頭が普通列車の最後尾に追いついた瞬間 特急→ 普通→ 150m 100m 250m 点だけを線分図として見ると...... 秒速28m 秒速18m 後ろの点が前の点に追いつく(速さの差:秒速10m)

図に置きかえる:特急の先頭が普通列車の最後尾に追いついた瞬間~特急の最後尾が普通列車の先頭に並んだ瞬間
点:特急の最後尾と普通列車の先頭に打つ
線分図として見る:2つの点の間の距離=150m+100m=250m。後ろの点が前の点を追いかける(追いつき)ので、速さは28m-18m=秒速10m

時間=250m÷秒速10m=25秒

7. 通過算の手順

ここまでの3つを、実際に問題を解くときの手順にまとめます。

  1. 1
    問題文を図に置きかえる
    「どの瞬間からどの瞬間までか」を読み取り、その瞬間の列車を図に書く。列車やトンネルは絵のままでよい。2つの列車が出てくる問題は、はじめの瞬間だけ書けば十分。(裏ワザ①)
  2. 2
    先頭か最後尾に「点」を打つ
    1つの列車なら、どの瞬間でも同じ部分に点を打つ。2つの列車が出てくるときは、それぞれの列車に点を打つ。(裏ワザ②)
  3. 3
    点を「線分図」として見る
    点が動いた距離、2つの点の間の距離、2つの場面の差を読み取る。(裏ワザ③)
  4. 4
    速さの公式にあてはめる
    距離=速さ×時間の関係で、聞かれているものを求める。2つの列車が出てくるときは、2つの点の旅人算として速さの和・差を使う。

だから通過算は「型」がいらない

電柱・鉄橋・トンネル・すれ違い・追い越し――場面は違っても、やっていることは「問題文を図に置きかえ、点を打ち、線分図として見ているだけ」です。場面ごとに公式を覚えようとするのをやめて、この手順に統一してしまえば、通過算は初めて見る問題でも同じように解けるようになります。

8. お子さんの通過算、どこでつまずいていますか

SS-1の学習カウンセリングでは、実際の答案やノートを拝見しながら、お子さんが通過算のどこでつまずいているか(図への置きかえか、点のとり方か、線分図の見方か)を見きわめたうえで、練習法をご提案しています。

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この記事を執筆した講師
田畠 靖大(Tabata Yasuhiro)
中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1(エスエスワン)関東副代表・渋谷教室長。関東にあるSS-1渋谷教室を中心に多くの受験生を指導し、毎年難関中学に送り出しています。担当教科は国語・算数。論理性を重視しながらも、ソフトな語り口でお子様の課題解決に取り組みます。テストでの得点向上のみならず、科目の根本理解、体系理解を実現、得意科目に仕上げていきます。

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